手描き友禅体験 in キッザニア東京(特別プログラム)

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伝統サポーターズでは、小学生を対象にした手描き友禅体験を7月29日、8月5日と同18日の全3回開催しました(「キッザニア東京サマーキャンプ2016」特別プログラム内)。小学3年生から6年生までの計87名の子どもたちが、夏休み期間を利用した伝統工芸体験に臨みました。

手描き友禅を東京で体験するのは、大変貴重なこと。普段、Tシャツなどのプリント柄を身につけることが多い子どもたちにとって、真っ白な生地から全てを手描きで染める職人さんの技に圧倒された様子でした。体験を始める前に、講師を務めた手描き友禅作家の笠原以津子さんの作品を見た子どもたちは、「すごい!」「きれい!」と驚きの声。気持ちも高まったところで、早速、体験が始まりました。

子どもたちが作った作品は、ハンカチとコースター。まずはハンカチから。始めに、墨のような"魔法の液体"で下絵を描きます。最終的には水などで洗い流せる液体なので、生地には残りません。下絵はあらかじめ笠原さんが用意した6種類のデザインの中から3つを選び、白地のハンカチの下に引いてなぞり、下絵を描きます。

下絵のデザインは、夏の風物詩「金魚」「風鈴」「紫陽花(あじさい)」のほか、伝統的な柄である「(歌舞伎の)隈取」「観世水」「露芝」(※以下、伝統柄の解説)。

隈 取 歌舞伎独特の化粧法のことで、顔の血管や筋を大げさに表現したもの。役柄によって隈取に使われる色が決まっている。 

観世水 巻き水を中心とし渦巻状に左右に波を平らに表現した水模様。能楽の家元、観世家が用いたことから観世水とよばれる。

露 芝 三日月形に線を描き、芝草に露の玉がついている状態をあらわしている。四季を通じて用いられる模様だが、水ということで涼しく感じられることから、特に夏の柄に用いられる。

女の子には夏の風物詩、男の子には伝統柄が人気でした。

下絵が終わると、いよいよ染め体験です。2本の筆を使い、ぼかしを施しながら色をつけていきます。最初に、ぼかしのテクニック(※下記の動画ご参照)を笠原さんに教えていただき、実践開始。各自のパレットの7色(白・赤・黄・青・緑・茶・黒)から思い思いに色を選び、掛け合わせ、好みの色を作っていきます。思い通りの色が作れないときなど、笠原さんから直接アドバイスをもらいながら、各自がオリジナルハンカチを仕上げました。

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ハンカチの次はコースターの染め体験です。コースターは「家族や兄弟、友だちなど"自分以外の誰かのために"」作りました。下絵はなく、自分の好きな絵を自由に描きます。お母さんやお父さんの顔を描く子ども、ペットの猫や犬を描く子ども、夏休みに家族で出かけた思い出の風景を描く子ども、テニスポールや野球ボールなど大好きなスポーツを描く子ども・・・87通りの絵が出来上がりました。

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「絵心を学んだ」と大人顔負けの感想を述べる小学4年生もいましたが、最初は「絵が苦手」と謙遜していた子どもも、始まってみれば躊躇(ちゅうちょ)することなく白いキャンパスを鮮やかに元気いっぱいに染めていました。笠原さんは「教えながらも、逆に子どもたちから刺激を受け、学ばせられました。大人はうまく描こうとして、型にはまった絵になりがちだけど、子どもは大人が想像できない自由な発想で大胆に描きます。本当に新鮮な気持ちになりました」と感想を述べられていました。

体験の様子

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笠原先生のお手本と作品