若い世代の心を動かし、家庭でも気軽に楽しめる“観葉盆栽”を広めたい

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中村康宏(なかむら・やすひろ)/盆栽作家

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園芸家、盆栽作家。1979年、静岡県函南町生まれ。
2000年(平成12年)から、埼玉の磯部緑園にて4年間盆栽の修行を積む。
その後は実家の中村園芸に戻り、観葉盆栽を提案。

・2011ジャパンフラワーオープン 優勝
・2012ジャパンフラワーオープン 優勝

▼中村園芸公式サイト
http://www.nakaen.com/


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花屋の家に生まれ、本格的に盆栽・園芸の道へ歩み始めたのが21歳の時でした。

盆栽の盛んな埼玉へ丁稚奉公という形で4年間盆栽の修行を積み、現在は実家である静岡県の「中村園芸」で日々、植物と向き合っています。中でも「観葉盆栽」と呼ばれる、園芸に慣れていない人でも家庭で気軽に楽しむことができる、新しい盆栽の形を多くの人に知ってほしいと思っています。

 

 

21歳で埼玉に4年間の修行生活、両親と師匠に感謝

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元々、花屋に生まれたこともあり、生活には自然が溢れていました。

美しい花々に囲まれる”贅沢な”生活というのは、花屋の特権かもしれませんね(笑)。

そんな中、21歳の時に両親の薦めで、埼玉の磯部緑園様へ盆栽の修行に出ました。

正直なお話ですが、修行当初の私は盆栽の魅力を分かっていませんでしたし、盆栽を好きになることも想像していませんでした。しかし、ある時私は、盆栽が持つ魅力、ひとことで言えば「すごさ」に震えました。

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それは師匠たちの作品が展示される展覧会に行った時のことです。

誰もが見たことがない生命力に溢れた植物が、鉢という小さな世界の中で、別世界を創造していました。21歳の若造が師匠の盆栽を見て、率直に感動したのです。

これを機に、約4年間の修行を無駄にすることがないよう、一生懸命努力しました。
といっても、ある程度の作業を教わったら、後は自分でやってみろ!というのが、師匠のスタンスだったので、悩みながら、時には師匠や先輩方に相談させてもらいながら、何とか無事修行を終えることができました。

修行を薦めてくれた両親と、盆栽の魅力を教えてくれた師匠たちには、感謝をしてもし切れません。

 

 

植物効果は、空気を浄化しリラックスさせるだけではない!

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私たち人間が生きていく上で、必要不可欠である「酸素」を生み出してくれるのは、植物です。

しかし、植物が人間に与えてくれるモノは、何も酸素だけではありません。
空気を浄化し、心身をリラックスさせてくれたり、植物が持つ緑は眼の疲労を和らげたりする効果もあります。

また、部屋の中に1つ緑があるだけでも、雰囲気はグッと変わります。

そして何より、確かな「自然」がそこには存在しています。その自然を自分の手で育む面白さ、愛おしさを観葉盆栽を通じて感じてほしいと思います。

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私は年に数回程、イベントを通じて、観葉盆栽を多くの方に知ってもらえるよう、作品展示や体験型のワークショップを開いているのですが、そこには当然初めて盆栽をご覧になる方も多いのです。

そうした方々から、「盆栽のイメージが変わった」など、お褒めの言葉やご声援をいただくこともあり、毎回のことながら嬉しくて感動しています。

これからも、伝統ある盆栽が持つ世界感を守りつつも、老若男女問わず、全ての人々が気軽に楽しむことができる、そんな観葉盆栽を創っていきたいと思います。また、観葉盆栽を入り口にして、多くの人が本格的で伝統的な盆栽も始めてもらえたら、とっても嬉しいですね。

 

 

“観葉盆栽”は屋内での管理が可能、仕事で忙しい人にも最適

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盆栽の大きな魅力は、四季折々の自然の風景を再現できる、芸術性だと思います。

無機質な物とは違い、その小さな世界の中に確かに息吹く、力強い生命力を感じられることが、多くの愛好家を虜(とりこ)にしています。

そして、観葉盆栽においても、その点は変わりません。

大きな違いは、盆栽は屋外での管理が基本となりますが、観葉盆栽は一年中屋内での管理が可能であり、育成の手間も最小限に抑えられます。

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現在の若い世代の生活様式は、1日の大半を会社で過ごし、仕事から帰るのも夜遅くなる、なんて人も多いと思います。そんな方々にも、手軽に楽しんでいただけるように、私は観葉盆栽を提案したいです。

余談ですが、これから観葉盆栽を始めようとお考えの方には、ベンジャミンをお勧めします!ベンジャミンの苗木は、幹に柔軟性があり、非常に折れにくい点が特長です。

作業に慣れていない方は、幹を誤って折ってしまう場合もあるので、そうした意味でも安心でお勧めです。

 

 

盆栽の魅力発信、地元の「グリーンピープル」で活動も

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観葉盆栽は、その一つ一つを楽しめるのはもちろんですが、空間演出としての役割も担います。

私は、「Green PeoPle(グリーンピープル)」という、観葉盆栽を使用した空間演出のイベントを、地元静岡県で行っています。
このイベントでは、植物を育む楽しさだけではなく、空間を飾る楽しさ、演出としての面白さをご紹介しています。

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しかし、こうしたイベントを継続的に行っていくには、まだまだ私の力不足が大きいです。

若い世代が盆栽を好きになってくれたら、もっともっと盆栽の世界もにぎやかになってくると思うのです。
私が師匠たちの盆栽を見て感動したように、今の若い世代の心も、きっと動かすことができるのではないか、と思っています。