[イベントリポート]「伝統ミーティング」奥会津編み組細工を通して伝統工芸に触れる
受け継がれてきた伝統工芸の技を次世代に伝承するべく、作り手との直接交流を通して工芸を学ぶ「伝統ミーティング」をco-ba koriyama(福島県・郡山市)にて、2015年10月3日に開催いたしましたので、その様子をレポートします!
イベントには、お一人で来られた方、ご夫婦、ご家族でお子さんと一緒に来られた方など、多くの方にご参加をいただきました。
第一部:「奥会津編み組細工ってなんだろう?」壇上インタビュー

東北に脈々と受け継がれている素晴らしい伝統工芸品「奥会津編み組細工」。
今回は三島町生活工芸館長と作り手2名の方に特別ゲストとしてお招きし、お話をうかがいました。
最初に主催者挨拶として、運営の桜井よりイベント開催の主旨のご説明や、特別出演者のご紹介です。

奥会津編み組細工には、山ブドウ細工・マタタビ細工・ヒロロ細工とそれぞれ種類があり、特徴が異なります。
特別出演者の角田キイ子さんはヒロロ細工を専門としており、五十嵐喜良さんは山ブドウ細工を専門とする伝統工芸士です。
三島町の魅力や編み組細工についてのご紹介をさせていただいた後、特別出演者である三島生活工芸館館長の板橋さんと地域おこし協力隊の猪俣さんに、壇上インタビューを行いました。
板橋さんからは「奥会津編み組細工の歴史と文化について」という内容です。
近年では編み組細工の中でも山ブドウ細工に人気が集まっているため、材料となるヤマブドウという植物が少なくなってきているそうです。
ヤマブドウを保護するため、1年のうち2週間だけ収穫の期間を設け、その期間に質の良いヤマブドウを収穫しているのだそうです。
地域おこし協力隊の猪俣さんからは、三島町で地域おこし協力隊を受け入れた背景や、伝統工芸の後継者育成の取り組みについてのお話をいただきました。
第1部の座学の時間が終わると、休憩タイムです。

参加者のみなさまは休憩中も腰を下ろす間もなく、会場に展示してある奥会津編み組細工を熱心にご覧になられていました。
ただ見るだけでなく、手に取って持ち心地を確認してみたり、写真に撮ってみたり、「どうやって作ってるんですか?」と工芸士さんと直接コミュニケーションを取られていました。
第二部:実践!小グループ別で編み組細工の体験工房

ここでは工芸士さん指導の下、山ブドウ細工でオリジナルのストラップを作ります。
各机に配られた作業用の道具を見て、ワクワクしていたり、「どうやって使うんだろう」と考えていたりと、十人十色の面持ちで作業開始の時を待ちます。
編み組細工を作るときには、山ブドウを霧吹きで湿らせてから編んでいきます。
乾いてしまうと山ブドウの性質上固くなってしまうため、常に湿らせながらでないとうまく作業が行えないのです。

実際にやってみると見た目以上に難しいようで、工芸士さんの説明を何度も聞きながら、作ってはやり直しということを繰り返しされていました。

作業の早く進んでいる方が、なかなかうまくいかない方にアドバイスするなど、参加者同士も協力しながら山ブドウ細工に取り組んでいました。
そして、最後に好きな色のビーズを組み合わせて……

「オリジナルのストラップができると言っても、完成品は同じものになるのではないか」という思いがなかったわけでもないのですが、実際に参加者のみなさんが作られた作品を見てみると、三者三様の仕上がりになっていて驚きました!
山ブドウの湿らせ具合や、編む際の力加減、組み合わせるビーズによって、まさに世界に一つだけの山ブドウ細工のストラップが出来上がりました。

体験の後は一か所に集まって、角田キイ子さんによる編み組細工の実演が始まります。
道具を使いながらすいすいと編み進めていく角田さん。
そこには、これまでに培われてきた技術と経験が濃縮されていました。

あっという間の2時間でしたが、盛況の中、無事に「第1回伝統ミーティング」が終了しました。
アンケートを拝見してみても、大変満足度の高い評価を頂いておりました。
ご参加いただいたみなさん、お集まりいただきありがとうございます!
また、本イベントに出演していただいた伝統工芸士の五十嵐喜良さん、角田キイ子さん、三島生活工芸館館長の板橋さん、地域おこし協力隊の猪俣さん、ご協力いただきありがとうございました。
今回のイベントに出演していただいた工芸士の方々の紹介を、近日中に伝統サポーターズのサイト上にて行いたいと思いますので、そちらも合わせてどうぞご覧ください。
